わたしたち一般人にとって、
不動産売買は一生のうち何度も経験することではありませんよね?
知識や経験も業者の方があって当然ですし、わたしたちは業者を頼るほかありません。
しかし、運悪く相手が悪徳業者で、「業者が言うことを鵜呑みにするうちに、気がつけばとんでもない契約を結んでいた!」なんて事態に陥ったとき、あなたはどうしますか?
わずかでも法律の知識があれば、不利益から身を守ることができるかもしれません。
この記事では、不当な契約から消費者を守る法律〚消費者契約法〛について解説します。
スムーズに安心して取引をおこなうためにも、ぜひ知っておきましょう。
消費者契約法とは、かんたんに言えば、消費者の利益を守る法律です。
消費者と事業者は、対等な関係で契約合意されるのが理想的です。
しかし、実際には事業者の方が不動産に対する情報量や交渉力が高く、消費者より立場的に有利ですよね?
そうした力関係の格差によって、消費者が一方的に損することがないよう、消費者を守るために施行されたのが〚消費者契約法〛です。
消費者契約法が適用されると以下2点の効果があります。
●不当な勧誘により締結した契約を取り消すことができる。
●契約条文自体が不当なものであった場合には、契約を無効にすることができる。
では、どんなときに「取消」が適用になるのでしょうか?
● 重要事項について事実と異なることを告げられた場合
● 将来の価格の変動が不確実な事項について断定的判断を提供された場合
● 重要事項について、消費者の不利益となる事実を事業者が故意または重大な過失によって告げなかった場合
また、事業者が顧客を勧誘するとき、以下の行為をして顧客が困惑して契約を締結してしまった場合にも、事後的に取り消すことができます。主に強引な勧誘を受けたケースです。
● 勧誘を行っている場所から退去するように事業者に対して消費者が求めたのに、その場所から退去しなかった場合
● 勧誘を行っている場所から退去したい意思を消費者が示したのに事業者が消費者をその場所から退去させなかった場合
さらに、〚事業者の損害賠償責任を免除する内容〛や、〚消費者が払う損害賠償の額を予定するような内容を含む一定の条項〛は、契約に記載されていても無効になります。
ちなみに、「契約取消」には行使期間があるので注意が必要です。
契約書の条文自体に問題があった場合には、仮に契約が成立しても、契約自体をなかったことにできます。
具体的には以下4パターンが挙げられます。
●事業者に責任がある場合でも「損害賠償責任は負わない」とする条文
(事業者の損害賠償責任を免除する内容)
●一切のキャンセルを受け付けないとする条文
(消費者の解除権を放棄させる内容)
●キャンセル料の金額が平均より上回る額が記載された条文
遅延損害金については14.6%を超える部分について、無効とされます。
●一方的に消費者が不利になる条文
例えば、以下のような条文は「無効」の対象になります。
●「いかなる理由があっても、一切損害賠償責任を負いません。」
●「当社に過失があると当社が認める場合を除き、キャンセルはできません。」
●「買主は表記の期日から支払い日までの期間に対し、年利30%相当額の遅延損害金を付加して売主に支払うものとします。」
個人と事業者の間に情報量の差があって、個人が不利にならないように守るための法律が消費者契約法です。
そのため、この法律が適用されるのは「個人と事業者が結ぶ契約」です。
個人同士で土地の売買契約を結ぶようなケースでは、消費者契約法は適用されません。
消費者契約法について、簡単に解説しました。消費者の心がけとして、慎重に契約を検討することももちろん大切です。
しかし、契約書にサインをしてしまったからといって、悪質な営業や不当な契約に泣き寝入りする必要はないのです。
ご紹介した知識を念頭において、正しい知識のもとに契約を結べば納得して土地や建物を購入できるので、不動産取引で必要な法律知識をしっかり身に付けておきましょう。
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