夫婦が離婚したときは、決まりにしたがって財産分与を行います。
財産分与には3種類があります。
○清算的財産分与 →詳しくはコチラ
夫婦で築いた財産の分与
○扶養的財産分与
離婚後の生活を保障するために、一方がもう一方に生活費を支払う
○慰謝料的財産分与 →詳しくはコチラ
離婚のきっかけを作った人が元配偶者に支払う
ここでは、この3種類の財産分与のうち、扶養的財産分与を紹介します。
扶養的財産分与とは、どちらか片方の配偶者が離婚によって生活苦になると予測されるとき、経済力がある配偶者がある一定の期間生活費を支払うことを指します。
扶養的財産分与が行われる場合には、次のような例があります。
・結婚中は専業主婦をしていて、離婚後すぐには仕事が見つからない場合
・清算的財産分与や慰謝料だけでは生活できない場合
・離婚後仕事を得るために、資格取得のための勉強で仕事の時間を確保できない場合
・熟年離婚で仕事が見つかる可能性が低い場合
・パートだけでは生活できない場合
扶養的財産分与では経済的に困窮する人が基本的な生活を送るためのものであり、結婚生活と同等の生活を保障するものではありません。
そのため、高額な生活費を請求しても相手が認めない場合も十分にあり得るのです。
扶養的財産分与は、法律で定められているわけではありません。
そのため、夫婦間の話し合いにより支払い金額、支払い期間が決められるのです。
しかし、なかなか話し合いがまとまらない場合や、どちらか一方が不利になる取り決めを結ばざるを得ない状況の際には弁護士を介して話し合いが行われる場合もあります。
その場合、離婚後のそれぞれの生活、子供の有無、配偶者の経済状況などが考慮されます。
一般的に、扶養的財産分与によって支払われる期間は半年から3年ほどですが、夫婦によってばらつきがあります。
扶養的財産分与でもらう現金の相場は、一般的な家庭で期間は半年以上、毎月3万円~5万円あたりです。
少なくとも、半年は必要という判断です。1年~2年援助してくれる相手もいます。
離婚時に一括でもらう場合は、20万円以上が相場となります。
なお、扶養的財産付与でもらうお金だけではとても生活していけないケースが目立ちます。
特にお子さんを育てるシングルマザーの方は、パートなどの稼ぎでは生活費が足りなくなる傾向があります。
その場合は、迷わず国の支援を求めるようにおすすめします。
また、就職のために自立支援教育訓練給付金などを利用することもできます。
自治体によっては、公共料金などの減免も受けられます。
こういった生活支援を併せて利用して、扶養的財産分与で不足する分をカバーするのは得策です。
【国の支援】
〇母子手当 毎月5万円以下
〇児童手当 毎月5,000円(1人につき)
【自治体の減免サービス】
〇国民健康保険料
〇上下水道料金・ゴミ手数料
〇保育料
〇公共交通機関の運賃
扶養的財産分与は支払い義務がありません。そのため、生活費を支払ってもらうには交渉が難しい場合があります。
その場合は、弁護士の方に依頼するのが一番安心であるといえます。
離婚後もお互いが安心して生活できるようにしっかりと話し合いましょう。
離婚については離婚協議を十分に行って、決まったことを離婚協議書にします。
そのとき、扶養的財産分与の条件は協議書に記載するべきです。
相手には扶養の義務がないため、払わないと言い張ることもできます。
両者が正式に契約したという証明として公正証書にしておけば、裁判所へ控訴しても有利な判決が期待できます。
単なる口約束では裁判で不利になりかねません。
離婚後の生活を守るために、法律事務所などのサポートを得て公文書化することをお勧めします。
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