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強制執行とは?

強制執行とはなに?強制執行の種類やメリット・デメリットも解説!

 

裁判所が行使する強制執行とは

裁判を起こして、お金を貸した相手に返済をすることを命じる判決が出た場合、貸した側は「これでお金が返ってくる」とホッとするでしょう。

しかし、裁判で勝ってもお金を相手が返済してくれて完結となるので、まだ喜ぶことはできません。

そのような時に、「国が権力を使い、お金を借りた人へ強制的に返済させる方法」を強制執行といいます。

裁判所の判決によって返済をしてもらうことになっても相手が返済してくれなかった時に、裁判所などの公的機関が相手の預金通帳などを強制的に差し押さえることができるのが「強制執行」です。

 

強制執行では、まず債務者の財産をチェックして、現金化できそうな財産を差し押さえます。なお、差し押さえられた財産に一切手を付けてはいけません。
債務者が自分で売却できないようにするのが差し押さえなのです。

こうして強制執行によって差し押さえた財産は、競売などを利用して売却され、その現金をもって借金整理を行います。

※ 強制執行には差し押さえをする相手の財産によって種類が分けられます。

強制執行の3種類の内容とメリットとデメリット

強制執行の中で金銭に支払いに関するものには3つあり、お金を借りた人の収入、財産から借金を取り立てることになります。

 〇不動産執行

 〇動産執行

 〇債権執行

 

不動産執行

お金を借りている人の持っている不動産を差し押さえて、競売手続きによって売却し、その代金を返済にあてることです。

メリット 不動産は大きな財産なので、隠せない。
うまく売却が進めばまとまった金額が回収できる。
デメリット 諸手続きが多いので時間がかかる。
買い手がつかないと売却ができない。
◇不動産執行の申し立ての手順
  1. 不動産強制競売申し立て
  2. 強制競売の開始決定
  3. 不動産の調査
  4. 最低売却価格・売却期日の決定
  5. 不動産の売却
  6. 配当
◇申請時に必要な書類と費用
必要書類 費用 申請場所
・不動産強制競売申立書
・債務名義の正本
・送達証明書
・資格証明書
・委任状
・当事者目録
・物件目録:
 差し押さえ対象の物件情報
・収入印紙代4000円
・予納金60万円以上
・登録免許の
 確定請求債権額として
 4/1000
差し押さえる不動産の
管轄する裁判所

動産執行

お金を借りた人が持っている、家財、貴金属、美術品などを差し押さえて売却し、その代金を回収にあてることです。

よくテレビドラマの中で、物に「差し押さえ」の札を貼っておくシーンがありますが、それが動産執行になります。

 

位牌などの仏具、仕事や生活に必要なものは対象外になります。

メリット 札を貼ることで、お金を返さない人に
精神的な圧力をかけることができる。
手頃な価格での売却が可能なので、換金がしやすい。
デメリット 買い手がつかない可能性がある。
品物の人気があるかということにも左右される。
◇動産執行の申し立て手順
  1. 執行官への申し立て
  2. 差し押さえ現場へ行く
  3. 差し押さえ
  4. 競売
  5. 配当

 

◇申請時に必要な書類と費用
必要書類 費用 申請場所
事前に記入・準備する
書類はない
・収入印紙代4000円
・郵便切手代3000円
・予納金3~5万円
地方裁判所所属の
執行官

債権執行

お金を借りた人が第三債務者などから取り立てて、回収にあてることです。
簡単に例をあげると

    ①お金を借りた人の給料を差し押さえ、会社(第三責務者)から直接払ってもらうこと。

      (その金額は最大で手取りの4分の1とされています)

    ②銀行預金の場合は、銀行が第三債務者となるので、差し押さえることで直接銀行からお金が引き出せる。

 

メリット 換金する手間が省けるため、簡単に早く回収できる。
デメリット 預金が実は存在していない
もう使われてしまったなど発見しにくい。
◇ 申請時に必要な書類と費用
必要書類 費用 申請場所
・債権差し押さえ命令申立書
・当事者目録
・請求債権目録:
 債権者が債務者に対して
 有する債権の一覧
・差し押さえ債権目録:
 差し押さえ対象の債権
・債務名義
 (執行文付与付き)
・送達証明書
・申し立て手数料
 …4000円
・郵便切手
 …3000円
債務者の住所を
管轄する裁判所

このように3種類の方法がありますが、お金を返さない人の財産や収入がきちんとあるかどうかということを、事前にしっかり調べておくということが重要になります。

 

強制執行の注意点

差し押さえをしたい相手の財産は自分で探す必要があります。
万が一相手の財産の価値が低い場合は費用倒れ(強制執行にかかる費用が差し押さえた財産より多くなってしまう事)になることもありますので、強制執行の申し立てには十分な調査と検討が必要です。

強制執行を申請する前に行う事

強制執行の申し立てを行う前には必ず行わなければならないことがあります。
それが以下の2点です。

1.債務名義の執行文の付与

まず債務名義に強制執行の効力を持たせるために、「執行文付与」の手続きを行います。
※債務名義とは公的に差し押さえしたい相手に対して自分の債権の存在、範囲を証明した書類

債務名義にも種類があり

  • 公正証書
  • 調停調書
    の2つがありそれぞれ執行文付与の申請方法が異なりますので表で解説します
  添付書類 手数料 申請人
公正証書 公正証書正本
戸籍謄本
住民票免許証
印鑑と印鑑証明
1700円 証書を作成した
公証人
調停調書
判決
仮執行宣言付判決
申立書
債務名義の正本
300円 債務名義を取得した
裁判所の債務名義を
実際に作成した裁判書記官
2.債務名義の送達証明申請

強制執行の申し立ての前に必要な手続きの2つ目は「債務名義の送達証明申請」です

目的は債務名義の謄本、または正本を債務者へ郵送するためです。
送達したことを証明する「送達証明書」が強制執行の申し立てには必要になります

 

強制執行で処分されない財産

たとえ強制執行といえども、法律で生活に必要と判断される所有物や現金は処分されないことになっています。具体的には、次のような財産は処分されません。

 

● 生活で使用している衣服・家財道具・家電・台所用品
● 仕事で使う道具(パソコンなど)
● 20万円以下の車やバイク
● 強制執行後に必要となる現金(裁判所の判断による)

ただし、銀行口座は差し押さえられますから、その後入ってくる給料や報酬は一定の範囲で没収されてしまうことを理解しておきましょう。

強制執行では正直に財産を報告する

大切にしているものなど、他人に取られたくない物もあるでしょう。ですが、強制執行のときは財産の全て報告しなければなりません。

いくら巧妙に隠したとしても、裁判所調査で隠している財産は発覚してしまいます。なお、悪質な財産隠しには大きなペナルティもありますので、正直に対応するようにおすすめします。

 

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