「大矢さんからいきなり家賃を5,000円引き上げると言われた」
「家賃の値上げに応じないなら、退去してくれと言われた」
そんな話を聞いたことはありませんか?
不動産の賃貸物件では、賃料(家賃など)に関するトラブルがいろいろと発生します。
貸す方も借りる方も契約時にしっかりと話し合って、事前に賃料トラブルの回避をしたいもの。
注意すべき賃料トラブルとして、具体的には次の4つがあります。
1.地代や家賃の値上げ
2.更新料
3.敷金保証金
4.退去時の原状回復費のトラブル
賃貸マンションやアパートを借りるとき、1年ごと・2年ごとの契約更新を義務付けるケースが多く見られます。
この契約更新では、物価の推移や地域の賃貸ニーズに応じて賃料の値上げを請求されることがあります。
あるいは、初めから地域の賃貸相場よりも低い賃料にしていたため、更新のタイミングで値上げを請求する場合もあります。
基本的に、賃料の値上げは「借地借家法」で認められた行為ですので、正当な理由であれば借主は応じる必要があります。
ただし、場合によっては拒否することも「借地借家法」は認めています。
貸主が賃料を値上げするには、賃料を値上げする相応の理由が必要になります。
相応の理由がない場合には、双方の合意がないと賃料を引き上げられません。
このため、一方的な賃料の値上げ要求には応じる必要はありません。
「今までが安すぎたから、値上げすることにした」というだけの一方的な主張では、裁判になったとしても賃料の値上げは認められないでしょう。
ですが、貸主の主張が法的に認められる場合には、賃料値上げの条件に応じなければそのまま住み続けるのは難しくなる可能性があります。
では、貸主が賃上げを要求する相応の理由とは一体どういったものなのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
・税金などの増額
・近隣の相場が上がった
・不動産価値が上がった
・社会の経済状況が変動した
固定資産税などの税金の税金が上がると、貸主にとっては大きな打撃になります。
このため、税制改革などで税金が上がった場合には、賃料の値上げが認められます。
近隣の家賃相場が上がった場合や不動産価値が上がった場合も、賃料値上げの正当な理由になります。
また、インフレなどで物価が上がると、物価の上昇に応じた金額の値上げが可能になります。
裁判をして貸主側の主張が「賃料の不相当」であると認められた場合、借主は賃料の値上げに応じなければなりません。
賃料が不相当になっているかどうかは、適切な賃料を算出して判断されます。
借主が賃料の値上げに応じなかった場合、裁判で争うことになります。
このため借主側は、現在の賃料を値上げする必要がないことを、法的に主張し、立証しなければなりません。
ですが逆に、貸主側の主張が正当であるとされれば、値上げに応じる必要があります。
請求時までさかのぼって請求できるので、増額された賃料と従来の差額を支払わなければなりません。
賃貸契約をする際に、あらかじめ賃料不増額特約をつけておくと安心です。
賃料不増額特約とは、貸主が賃料の値上げはしません、という借主との約束になります。
これは、経済状況などが変化しても有効に働きます。
賃貸借契約は通常更新されることが前提となっていますが更新を拒否するためには期間満了の1年前から6ヶ月前に拒絶の通知をしなければなりません。
そして更新料の支払い義務はありませんが、全国的に更新料が請求されることが多いのが実情です。
更新料に関わるトラブルを避けるためには契約をする前に十分に話し合い、更新料の有無や設定理由、金額を確認し、借り手と貸し手が納得する形で契約する必要があります。
敷金と保証金については多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、敷金と保証金をそれぞれの違いを説明できる人は意外と少ないと思います。
敷金と保証金をしっかりと理解しないことでトラブルに繋がることがあるのでしっかりと理解しましょう。
借家契約の時に借り手が貸し手に対して預けるお金であり、家賃の滞納や著しい損壊が認められるとその補填のために敷金から差し引かれます。
敷金と同じ意味で使われることもありますが、建設協力金という名目として使用されることもあります。
退去時の退去の条件でこの項目をしっかりチェックしておきましょう。
退去時に貸主から提示されたハウスクリーニング代や修復費が高額になりトラブルになることがあります。
契約書には退去の条件が明記されていて、その通りに原状回復をするならば、修復工事やハウスクリーニングの業者は借主が選べることになっています。
節約するなら借主が自分で準備をすると良いでしょう。この点も退去前に家主としっかり相談しておくとトラブル回避になります。