平成の時代になって、生涯を通して未婚のままで亡くなられるケースが増えていると言います。
国の調査によりますと、50歳まで結婚したことのない生涯未婚率が男性2割・女性1割(2010年データ)とのことですが、今後も増える傾向にあるとのこと。
そこで最近の高齢者の心配ごとに、『財産を相続する人がいない』という話があります。
このような場合、相続されなかった財産はどのようにして分けられて誰のものになってしまうのでしょう。
また、相続人がいないことが事前にわかっていた場合、生前に何かできることはあるのでしょうか。
本来であれば、法定相続人か遺言によって指定された人が遺産を相続します。
しかし、未婚者で第三順位にあたる身内の方々もすでに亡くなられている場合や、相続権をもつ家族や親族は存命でもすべての方が相続放棄をした場合など、誰も遺産を相続しないことがあります。
このようなケースを相続人不存在といって、法的に相続する人がいない状態を意味します。
・配偶者・子供がいない(死亡も含む)
・兄弟姉妹もいない
・両親や祖父母はすでに死亡した
*血縁であっても、おじ・おば・いとこは法定相続人になれません
相続放棄をするには、相続がはじまったことを知った日から3ヶ月以内に裁判所へ申し立てれば受理されます。
この申請は、個人でも弁護士に代行してもらってもOKです。
法定相続人がいたとしても、欠格・廃除となっていた場合には相続人がいない扱いとなります。
欠格・廃除とは、相続人が被相続人に対して悪事を働くなどをした場合、相続の権利を与えないようにする制度のことです。
欠格の理由としては、被相続人を殺してしまった、あるいは殺人未遂を行なった、脅迫などで自分に有利な遺言を書かせたりするなどが挙げられます。
廃除に関しては、被相続人の生前の意思によって行われます。
相続人が虐待をしていたり、侮辱行為などがあったりした場合、被相続人によって家庭裁判所に申立てられます。
申立てが認められれば、この人に対する権利は失われることになります。
相続する人が誰もいなかった場合に、財産は誰の手に渡るのでしょうか。
まず、債権者に分配されます。
①遺言書内で指定された人(受遺者)
遺言書を作成していた場合、その遺言書内に相続人の指定があればその人に財産が行くことになります。
財産の行き先は必ずしも身内である必要はありません。遺言書があれば、お世話になった人に相続権を与えられますし、母校や慈善団体などへの寄付も可能になります。
②特別縁故者
亡くなった人と特別な縁故があった人のことを「特別縁故者」と呼びますが、この特別縁故者に該当すれば財産分与の申し立てをすることが可能です。生前、被相続人と以下のような関係であった人は特別縁故者として扱われます。生前、被相続人と以下のような関係であった人は特別縁故者として扱われます。
・内縁の配偶者であった、事実上の養親・養子
・業務としてではなく看護・介護をしていた人
・遺言書はないが、財産分与を口約束していた人
・周りから見て明らかに密接関係があった人(師匠と弟子・家族同然であったなど)
・経営者として深く組織に関わっていた法人など
上記に当てはまるような特別縁故者には、裁判所が決めた金額が遺産から支払われることになります。
③最終的には国のお金として国庫に入る
遺言書も特別縁故者もない場合や、財産分与で余った分は国のものになります。
自分の死後、財産を相続する人がいないとわかっている人は、遺言書を書いておくと良いでしょう。
事業経営者の人は後継者に引き継いでもらう必要があるため、事業用資産の相続方法を決定する際に遺言書があるとスムーズに引き継ぎができます。
また、介護をしてくれた人やお世話になった人には基本的には相続権がありません。自分の財産を何らかの形で贈りたいと思っている方は、遺言書に記載することで遺贈することができます。
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