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離婚

熟年離婚をするために準備すること ~後悔しない人生の再出発~

長年連れ添った夫婦が、子育てや仕事を終えたタイミングで別々の人生を選ぶ——そんな「熟年離婚」が増えています。
しかし、長い結婚生活の後に離婚をするとなると、気持ちだけでは解決できない「お金」や「生活」の問題が多く出てきます。
後悔しないためには、しっかり準備しておくことが大切です。

ここでは、熟年離婚を考えるときに知っておきたいお金・暮らしの準備ポイントをまとめました。


熟年離婚成功させるための「お金」の全調査 

熟年離婚のカギは、長年の婚姻期間で築き上げた財産をいかに公平に、もれなく分与するかです。そのためにはすべての財産を把握しておく必要があります。

財産分与

「財産分与」とは、「夫婦で築いた財産」を公平に分けること、です。

結婚生活の中で増えた財産は、名義に関係なく「夫婦の共有財産」とみなされます
たとえば、家や預金が夫名義でも、妻が家事や育児を支えていたなら、その貢献も評価され、原則として夫婦 の共有財産となり、2分の1(50%)ずつ分け合います

そのため、なにが共有財産の対象になるのか、知っておくことは重要なことです。

一方で、結婚前から持っていた財産親からの相続・贈与は個人の「特有財産」として、分与の対象にはなりません。ただし、特有財産であることを主張するには、その財産が「いつ」「どのように」取得されたのかを示す客観的な証拠(結婚前の通帳、遺産分割協議書など)が必要です。証明できない場合、「共有財産」と推定され、分与の対象となってしまうリスクがあります。

お金の全調査

財産分与をスムーズに漏れなく行うためには、全ての財産を把握する必要があります。

1.離婚を切り出す前に全財産を把握する

相手が財産を隠したり、勝手に処分してしまわないよう、預金通帳のコピー、不動産の権利証、保険の証券、源泉徴収票など、共有財産が確認できる資料を集めておきましょう。

2.退職金の確認

熟年離婚の場合、退職金が近い将来に高額支給される見込みであれば、財産分与の対象となります。会社への問い合わせなどで支給額や支給見込み時期を確認しておきましょう。

3.負債(借金)も分与の対象

住宅ローンや生活の為の借金など、夫婦の共同生活のためにできた負債も分与の対象となり、財産から差し引かれます。ギャンブルなど一方的な趣味で作った借金は対象外です。


年金分割で老後の安心を確保

熟年離婚で特に知っておいた方が良いのが、年金分割制度です。
これは、婚姻期間中に配偶者(多くは夫)が加入していた厚生年金の記録を最大50%まで分けることができる制度です。

年金分割のしくみ

  • 対象となるのは厚生年金(報酬比例部分)のみ。国民年金は対象外。
  • 分割の割合(50%)は合意分割(話し合い)か3号分割(どちらかが専業主婦(主夫))で決まる
  • 離婚後2年以内に請求しないと権利が失効する。

  3号分割・・・配偶者が専業主婦(主夫)の場合、請求すれば強制的に1/2(50%)に分割されること。
婚姻期間が2008年4月以降だと夫の合意なく強制的に分割される。

この制度を利用すれば、専業主婦(主夫)やパート勤務で厚生年金加入期間が短かった人も、将来的に受け取る年金額を増やすことができます。

共働き夫婦の年金分割は、「合意分割」が基本で、双方の厚生年金記録を合算し、婚姻期間分を話し合ったうえで、多い方から少ない方へ分けることになります。

どちらにせよ離婚時の話し合いで見落とさないようにすることが大切です。

退職金・住宅・養育費の扱いにも注意

退職金

退職金は金額が大きく、夫婦間でも特にトラブルになりやすい財産の一つです。

退職金が分与の対象になるケース

  • すでに受け取っている退職金の場合…受け取った退職金は「共有財産」と見なされることが多く、結婚期間中に形成・蓄積された部分について原則として夫婦で分ける対象になります。

  • これから受け取る(退職前)退職金の場合…このケースが一番争いになりやすい部分です。
      □退職金の受領が確実か 
      □見込み額が算定できるか 
      □勤続年数のどの部分が婚姻期間と重なるか

などを踏まえて、退職予定の退職金も財産分与の対象になると判断することがあります。つまり、「まだもらっていない退職金」でも、婚姻中の勤続分は共有財産として扱われる可能性があります。

ポイント
・ 退職金の見込み額を勤務先から確認する
・財産分与の対象とするかを明確に話し合う
・退職金をもとにローン返済や住み替えを考える場合、税金や手取り額にも注意

離婚後新たに住まいを購入する場合、退職金が大きな資金源になることもあります。
その際は、税金の控除や購入タイミングも含めて、不動産会社やFPに相談するのがおすすめです。

不動産

熟年離婚でもっとも悩ましいのが、「家をどうするか」という問題です。
長年の婚姻生活で築いた「持ち家」が最も大きな財産であることが多く、その扱いは慎重に決める必要があります。
不動産分与には主に3つの方法があります。

どの選択肢を選ぶにしても、まずは不動産会社に査定を依頼し、持ち家の正確な時価を把握することが公平な派内試合を進めるための最初の一歩となります。

養育費

まだ独立していない子(経済的自立をしていない)がいる場合は、子供と暮らす親に対して別れた配偶者は養育費を支払う義務があります。養育費は両者の収入に応じて折半するのが一般的で、あくまでも収入や財産の範囲内で行うことになります。子供の安定した生活・将来の為に、養育費と親権についてもしっかり納得がいくまで話し合う必要があるでしょう。

離婚後の生活をシミュレーション

離婚後の生活費

財産分与や年金分割が済んでも、実際に生活が成り立つかどうかが最も重要です。離婚後の生活費をどう考えていけばよいか、確認してみましょう。

生活費の目安(単身世帯・高齢者の場合)

  • 最低限の生活:月12〜15万円
  • ゆとりある生活:月20〜25万円

この中には、家賃・食費・光熱費・医療費などが含まれます。
賃貸に住む場合は、家賃が収入の3分の1以内に収まるようにすると安心です。

将来を見据えたポイント

  • 年金見込み額を「ねんきん定期便」などで確認する
  • 離婚前に職場を確保し、離婚後の生活に足りる収入を得る(パート・再就職など)
  • 医療費・介護費用など、将来の支出も想定し、早期に老後資金の見通しを立てる

熟年離婚後は新しい住まいを探す方が多く、引越し費用・敷金礼金・家具家電の購入など、初期費用もかかります。

また、離婚は新しい生活のスタートでもあります、想像以上にお金がかかる老後の資金計画についても一緒に見直してみると良いでしょう

専門家に相談してトラブルを防ぐ

離婚に関するお金や法律の話は、自分だけで判断するのが難しいことも多いです。

  • 弁護士:法的な取り決めや調停のサポート
  • ファイナンシャルプランナー(FP):離婚後の生活設計
  • 税理士:不動産や退職金に関する税金相談

専門家の力を借りることで、冷静で公平な判断ができます。


まとめ

熟年離婚は「終わり」ではなく「新しい人生の始まり」です。
お金・住まい・年金の準備を整え、心の準備もしておくことで、離婚後の生活を安心してスタートできます。

焦らず、情報を集め、自分の人生をどう生きたいかを見つめ直してみましょう。

お金や法律の話は、自分だけで判断するのが難しいことも多いです。専門家の力を借りることで、冷静で公平な判断ができます。
準備が整えば、きっと「後悔しない再出発」ができるでしょう。

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