ただし非課税の対象になるためには条件があるのでしっかりと把握しましょう。
たとえば、教育費用に充てるための資金を贈与した場合には、一定の条件を満たすと最大1,500万円の贈与まで贈与税がかかりません。
以下では、この特例制度を利用できる条件や手続きなど詳しく解説していきます。
通常は、個人間での贈与は受け取る側に「贈与税」が発生します。
そして、両親や祖父母から子供、孫に一定額の資産を贈与した場合でも贈与税がかかります。
しかし、通常必要と認められる教育費(入学金や学費等)については非課税になることがあります。
まず、財産を贈与した場合でも、贈与税がかからない非課税財産というものがあります。
子や孫に渡す教育費は非課税財産の1つなので、贈与税はかかりません。
ただ、非課税財産として扱われる教育費は、扶養義務者から「必要な都度」贈与されるものが対象です。
学校の入学資金や授業料の振込が必要になったときに贈与した場合が非課税の対象で、事前にまとめて教育資金を贈与する
ケースは対象になりません。そのため、教育資金を一括で贈与したい場合は、非課税の特例制度の活用を検討します。
教育資金贈与は適用期間を定めた時限的な措置ですが、これまで期間の延長が繰り返されてきました。
令和5年の税制改正では期間が3年延長され、特例の適用期間は令和8年3月31日までとなりました。
制度を利用するための条件にはいくつかあり、主な条件を挙げると以下の通りです。
非課税になる金額は、「学校等に直接支払われる金銭」に関する贈与は1,500万円まで、「学校等以外の者に直接支払われる金銭」に関する贈与は500万円までです。
(合計で最大2,000万円までではなく、あわせて最大1,500万円までです。)
たとえば、当特例制度の対象として非課税になる教育資金には、次のような費用が挙げられます。
種 類 | 上限金額 | 対象となる教育機関 | 学校等に直接支払われる金銭 |
学校等 | 1,500万円 | 学校教育法で定められた 幼稚園・認定こども園・小学校・中学校・高校・高等専門学校・大学・保育所・外国の教育施設 等 |
入学金、授業料、入園料、保育料、入学(園)試験の検定料、学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費・PTA会費、寮費、通学定期券代 |
学校等 以外 |
500万円 | 塾、そろばん教室、 スポーツ教室、 ピアノなどの文化芸術にかかる教室 |
レッスン料、施設使用料、 役務提供の対価、通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費 |
学校以外に支払う教育資金は子供や孫が23歳になった次の日からは教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受ける場合に限られます。
つまり、25歳の孫が調理師学校に入学するには非課税の対象となりますが、趣味でピアノ教室に通うための費用を贈与する場合は、非課税の対象とはなりません。
銀行などの金融機関と資金管理契約を結び、教育資金を管理する専用口座を開設します。
非課税の特例を受ける教育資金は専用口座で管理され、贈与を受けた人が教育費がかかった時に領収書等を金融機関に提出すると、口座から資金を引き出せる仕組みです。
また、金融機関経由で税務署に教育資金非課税申告書を提出します。
教育資金の贈与では、今回紹介した特例制度以外にもいくつかの方法が考えられます。
まず既に紹介したように、教育費を必要な都度贈与するのであれば、贈与税はかかりません。
たとえば、孫が生まれてすぐに贈与する必要がなければ、成長して学校に入るタイミングなど入学金や授業料が実際に必要になるときに贈与しても良いでしょう。
また、非課税の対象にならない場合でも、年間の贈与額が基礎控除額110万円以内であれば、贈与税はかかりません。
毎年100万円程を贈与し続ければ、贈与税の負担を生じさせずに大きな金額を贈与できます。
ここでは非課税で教育資金を贈与する際の注意点を紹介します。
◆ 贈与した教育資金が余った場合は課税対象となる
教育資金を受け取った子供、孫がその分をすべて使わずに30歳となった場合、余った資金には贈与税がかかります。
教育資金を贈与したのに使いきれずに贈与税がかかるのを避けたい方は暦年贈与や必要な都度贈与を利用しましょう。
暦年贈与は年間110万円まで非課税で贈与 でき、さらに使用目的は限定されません。
◆ 領収書が必要になる
教育資金を非課税で贈与した場合、その資金をきちんと教育目的で使用したことを示すために、銀行などの金融機関に領収書を提出する必要があります。
銀行によってはその領収書を写真に撮ってアプリ上で提出する方法や領収書を郵送する方法があります。詳しくは金融機関にお尋ねください。
教育資金一括贈与は節税効果が大きい制度ではありますが、ここ数年で税制改正が続いている制度でもあります。
受贈者の年齢や贈与された時期など考慮しなければならない複雑な制度のため、
ご自身にとって最適な方法を税理士にご相談して検討していくことをおすすめします。
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