友人や親族の借金の保証人になってしまい、借金を肩代わりして返済した場合、そのお金はもう変えてこないのか?
不安になったことはありませんか?
そんな時は、「保証人の求償権」が使えます。
「保証人の求償権」とは、民法に定められた保証人の権利です。保証人には、債務者(実際に借金などの契約をした人)の代わりに返したお金を、債務者に請求できる権利があります。
「保証人の求償権」は法律上の権利であり、保証人になって債務者の代わりにお金を返した人なら誰でも求償権の行使ができます。
保証人の求償権は複雑で、細かい規定があります。
ここでは、依頼を受けて保証人になった場合の2パターンについてご紹介します。
保証人がひとりの場合は、シンプルです。
肩代わりした借金を、債務者に全額請求できます。
この全額とは、元金だけでなく、利息や遅延損害金なども含まれます。
債務者にとっては、借金をしていた先が債権者である銀行や金融機関から保証人に変わったようなイメージです。
この時の注意点としては、以下の2つがあります。
●事前に債務者に支払うことを連絡しておくこと
●支払った後にも債務者に連絡を入れること
連絡をしなかった為に、二重支払いなどのトラブルが発生する危険性があるので、支払いの事前と事後に必ず債務者に連絡をしましょう。
保証人が2人以上の場合は、少し複雑です。保証人同士でも求償権が発生するからです。
例えば...
債務者Aさんが1,000万円の借金をしていたとします。
保証人にBさんとCさんの2人をたてました。
Aさんはとある事情で借金を返せなくなってしまったので、保証人であるBさんとCさんに借金を返してもらうことになりました。
このとき、Bさんが800万円を債権者に支払ったとします。
通常、保証人の自己負担分は頭数(この場合2人)で割った金額になるので、
< 1,000万円 ÷ 2(人) = 500万円 > 500万円がBさんとCさんの自己負担分となります。
Bさんは債権者に800万円を支払っているので、自己負担額を300万円超えて支払ったことになります。
この余分に支払った300万円を、BさんはCさんに求償できます。
次に、これまでとは逆の「債務者」の立場からみてみましょう。保証人の求償権を行使されたら、以下の2つの方法があります。
支払えるのであれば、支払うのが一番良い解決方法です。
すぐに一括で支払えない場合には、分割で支払えないか、もしくは猶予をもらえないか、交渉することになります。保証人が保証会社の場合は、分割に応じてもらえない場合もあります。
支払いに困ったら、まずは弁護士などの専門家に相談してみても良いでしょう。
債務整理には、以下の3つの方法があります。
●任意整理:債権者と直接交渉して借金を減額してもらう、月々の支払いを軽くしてもらうなどの方法。
●自己破産:裁判所に申し立てをして、借金を免除してもらう方法。
●個人再生:裁判所で申し立てをして、借金を減額、分割で支払えるようにしてもらう方法。
どの方法が一番良いかは、返済する金額や個人の資産や収支のバランスによって適切な対応が違ってくるので、債務整理をする場合には弁護士などの専門家に相談するのが良いでしょう。
令和2年(2020年)4月1日から施行の「民法の一部を改正する法律」によって、消滅時効に関する規定について改正がありました。
<改正民法第166条(債権等の消滅時効)>
債権の時効について、これまでの
<「客観的起算点」から10年が経過したとき>に加えて
<「主観的起算点」から5年が経過したとき>も消滅するとされています。
「客観的起算点」
債権者が権利を行使できる時から10年が経過したとき
「主観的起算点」
債権者が権利を行使することができることを知った時から5年が経過したとき
つまり、求償権も債権ですので、時効によって消滅することがあるということです。
また、令和2年(2020年)4月1日以降に発生した求償権については、【5年で時効にかかる可能性がある】ということになります。
(令和2年(2020年)3月31日以前に発生した求償権は、改正前の民法が適用され、10年の可能性もあります。)
ただし、期間が経過したとしても自動的に求償債権は消滅しません。時効消滅には、「時効の援用手続き(※)」が必要だからです。
(※)事項を成立させるための手続き
各事例によって詳細は異なりますが、時効期間が経過したうえで弁護士に依頼をして、正しく手続きを進めることが一般的で確実な方法です。
支払いも債務整理もしたくない、と無視をしたり夜逃げをするのは自分の首を絞める行為です。
無視をしていると、財産を差し押さえられてしまいます。
差し押さえられる財産がないと思うかもしれませんが、財産には会社から月々支払われる給料の一部も含まれます。
よって、収入が減ってしまうどころか会社にも知られてしまうこととなり、会社での信用を失ってしまう可能性があります。
住まいを変えても債権者は住民票の閲覧ができるので、引越し先がわかります。
仮に住民票を移さずに引越しだけをしたとしても、働いている場所や健康保険証の使用履歴で場所が特定されます。
働かず、病院にも行かずに暮らしていくことは困難なので、逃亡はしない方が良いでしょう。
お金のことはうやむやにせず、きっちりと解決しておくことが大切です。
保証人は債務者に対し、求償権の行使ができます。
肩代わりした借金を支払ってほしい場合や、それとは逆に求償権を行使された場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。
専門家の立場から的確なアドバイスをもらえます。
株式会社BLOOMでは各分野に精通した士業の先生方を無料でご紹介しています。
まずはお気軽にご相談ください。