不動産のことなら
不動産のことなら
FAQ
知恵袋
相続

共有名義で相続した不動産の登記はどうするの?        名義変更手続きまで解説!!

相続した不動産を複数人で共有することはよくあります

 被相続人が亡くなり、遺言書がない場合は、複数人の法定相続人の「遺産相続協議」をおこない、「遺産相続協議書」を作成することが必要です。不動産の相続はいくつかの分け方がありますが、どのように分けるかは法定相続人で決定しなければなりません。現金については複数人で分けることも比較的簡単ではありますが、不動産においては物理的に分けることが難しいため、「複数人で不動産を所有する権利を相続する=共有」することがよくあります。それぞれの所有権割合を決めて相続し、その所有割合のことを「共有持分」と言います。

 そして、不動産を一人が単独で相続する場合も、複数人で相続する場合も、自動的に名義が変わることはないので、法務局への名義変更(相続登記)は義務化(2024年4月1日~)されています。  ☞☞☞相続登記の義務化についてはコチラ

不動産の相続と相続登記の3つのパターン

不動産を共有で相続する際には3つのパターンがあり、それぞれに応じて合計
3種類の名義変更手続きがあります。

の3種類です。それぞれについて紹介しましょう。

1.遺言書による相続登記

 有効な遺言書によって、「不動産を共有することとされていれば、共有する共同相続人が登記手続きを行います。例えば、共同相続人が5人いて、当該不動産は2人が共有することとされていれば、2人の共有者が手続きするのです。遺産相続分割協議は不要ですから、素早く登記を行うことが出来ます。手続きの際には、有効な遺言書を提出します。

 なお、自筆の遺言書があったとしても、法的に不備があって有効ではない場合がありますから、注意が必要です。有効でない場合は、遺産分割協議を行うことになります。

2.遺産分割協議による相続登記

 遺産分割協議をして、不動産を何人かで共有することで合意した場合は、共有する共同相続人が登記手続きを行います。遺言書による相続登記と同様に、共有者のみで手続きすることが可能です。

 もし、共同相続人の中に、たとえ一人でも合意できない人や、協議を拒む人などがいた場合には、遺産分割協議は成立しません。したがって、遺産分割協議による相続登記もできないのです。

 また、遺言書があったとしても、遺言書と異なる内容の遺産分割協議が成立すれば、その協議通りに分割することができます。

 登記申請の際には、共同相続人全員による実印を押印した遺産分割協議書と全員の印鑑証明書が必要です。

3.法定相続分どおりの遺産分割による相続登記

 不動産に、共同相続人全員についての法定相続分通りの持分を設定し、共有することができます。有効な遺言書がなく、遺産分割協議もまとまらない場合などには、この方法をとることも可能です。

 この場合、登記手続きは共同相続人のうちの一人で申請することも、共同相続人全員で申請することもできます。また、遺産分割協議書や遺言書のような特別な書類を用意する必要もありません。

 ただし、一人で申請すると、申請しなかった人には『登記識別情報通知』が発行されません。したがって、申請は全員で行うことをお勧めします。

共有名義の相続登記の手続き

 不動産を相続した場合、一般的に不動産の購入とは違う登記手続きを行います。まずは遺言書の有無を確認しましょう。
相続登記を行うためには、相続の確定をしなければなりません。相続人と相続財産をしっかり確認し、そのうえで相続を確定させます。

 遺言書がある場合はそれに応じるか、応じない場合や遺言書がない場合は法定相続分かあるいは遺産分割協議で決定します。

 ただし、遺産分割協議で法定相続分と違う相続内容を決定した場合、遺産分割協議書を作成して、相続登記の申請書類として提出します。
遺産分割協議書には、不動産の所有者全員(不動産を相続する全員)の共有持分(比率)を明記し、その不動産の所有状況をはっきりさせることが肝心です。

①手続きに必要な書類

必要書類は次の通りです。

  • 登記申請書(法務局HPなどからダウンロード可能)
  • 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 被相続人の住民票(除籍)
  • 相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の住民票
  • 固定資産評価証明書

②手続きにかかる費用

  • 登録免許税(登記申請にかかる税金)・・・不動産評価額の1000分の4(税率0.4%)
  • 相続登記に必要な書類の取得費用(各種証明書類)
  • 依頼料(司法書士などの専門家に手続きを依頼する場合に必要)

上記①の書類の準備が出来たら法務局に提出します。
もちろん、個人でも登記を行うことは可能ですが、きちんと相続登記をしていないことで生じる不利益もありますので、依頼費用は掛かりますが司法書士などに依頼することをお勧めします。

『とりあえず』法定相続分で相続登記する注意点

 不動産の分割は相続トラブルのトップ項目と言われるほど難しい問題です。そこで『とりあえず法定相続分どおり』に不動産を分割して、それを相続登記にしておくケースが見られます。それは法定相続分での共有分割ならば、協議書が不要で『とりあえずの保存行為』としてのメリットがあるからです。

しかし、次のようなデメリットもあるため注意が必要です。

①申請者以外には「登記識別情報通知」が発行されない

 相続登記の3つのパターンでも説明したように、申請者以外には「登記識別情報通知」が発行されないので、権利者でありながら権利証がない状態になります。全員が申請者になれば問題は解決しますが、お互いが遠方に居住しており全員での申請が難しいケースもあるかと思います。登記識別情報通知が必要になった場合、司法書士が作成する本人確認情報(登記識別情報通知の代替書類)を依頼することになり、手間と費用が掛かってしまします。

②登記内容を変更する場合、追加の手間と費用がかかる

 とりあえず複数人で法定相続分による相続登記をした後で、遺産分割協議によって一人が単独で取得することとなったとします。この場合、他の人の持分全部を単独所有することとなった人に移転する遺産分割による相続登記を行わなければならず、追加で申請の手間と費用が掛かりますまた、単独所有する人への贈与とみなされ、贈与税が課されてしまう可能性もあります。

③不動産が共有状態になる

 複数人の法定相続人による相続登記をおこなうと、複数人で不動産を共有している状態になります。また、※代襲相続が発生した場合などは、法定相続人がネズミ算式に増えていくことも考えられます。
法定相続人が増えれば増えるほど売却するときに手続きが煩雑になったり、管理や処分方法について意見が対立したり様々な問題が生じてきます

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは・・・相続人が被相続人より先に死亡などの理由で相続権を失った場合に、その子供などの相続分を相続する制度のことです。

④第三者への持分譲渡や債務の差し押さえ

 法定相続分による相続同期をすれば、各相続人が取得した所有権持分はその相続人の固有財産となります。そのため、各相続人は自由に自分の持分を第三者に譲渡することができ、もしその相続人に負債がある場合、債権者がその持分を差し押さえる可能性もあります。そうなると相続には全く関係のない第三者が共有関係にある、という事態が生じてしまうかもしれません。


 いかがでしたか、相続した不動産の名義変更の手続きはこれほどに煩雑になります。
不動産を共有持分で相続するのは、不動産の規模や件数、相続人の人数など様々なケースがあり、手続きも大変になることが予想されます。費用は掛かりますが、専門家に相談することが比較的ストレスなくスムーズに処理できる近道となるでしょう。

株式会社BLOOMでは各分野に精通した士業の先生方を無料でご紹介しています。
まずはお気軽にご相談ください。