借用書の書き方について
金銭トラブルにならないための
借用書の必要性と書き方について

友人や知人へお金を貸す場合、気を使って口約束で済ませがちではありませんか?
もし返済のトラブルが出てくれば、『貸した・借りてない』など口論となって、問題をややこしくしてしまうかもしれません。まして裁判に申立てるにも、証明するモノがなければ解決は難しいでしょう。
お金や物の貸し借りは口約束でもできますが、口約束だけだと「言った」「言わない」が発生してトラブルの原因になります。「借用書」を作成してトラブルを未然に防ぎましょう
借用書とは?
借用書とは個人の間でお金の貸し借りをするときに、「借りる人が借りた事実を認めて、返済を約束することを証明する書面」のことです。 お金を借りた人が書類を作り、貸した人がその書類を持っているというもので、書類といっても手持ちのチラシの裏や手帳でも作成できるので、最も簡易的といえるでしょう。
個人的なお金の貸し借りでは、契約書ではなく借用書を作ります。お金を借りる側(債務者)が、借金の金額や日時などを文書にして貸した側(債権者)に提出します。債権者はその借用書を返済が完了するまで保管するのが一般的です。
*口約束でも法的には借金の契約は成立し、返済の請求は可能
借用書はなぜ必要なのか?
借用書がなく口約束の場合は、相手をどんなに信用していてもこんなトラブルを起こす可能性があります。
トラブル例
①Aさんと10年以上付き合いのある親しい友達のBさん。
Aさんは急にお金が必要になりBさんから20万円を借りました。その時に「来月給料が入ったら必ず返すから」といいBさんから借りましたが、1か月以上たってもお金が返って来ないのでBさんがAさんに「お金を返してよ」と言ったら「借りた覚えがないよ」と言われてしまいました。
②Cさんは叔父のDさんに50万円を貸したのですが、Dさんは急に亡くなってしまいました。Cさんは生活に困ったので遺族に返済をお願いしたのですが、嘘だといわれてしまいました。

①も②もお金の貸し借りの証明となるものがなかったため、返済してもらえなかったという例です。相手が否定をしたら証明がないため、請求ができなくなってしまいます。
トラブルにならないためにも、借用書は必要です。
借主から「そもそもお金を借りていない」や貸主から「当初の返済期間は1年なのが3か月で返済しろ」など言われることがあります。
個人間のお金の貸し借りは、トラブルを未然に防ぐためにも借用書の作成は必須です!
借用書があることで得られるメリット
金銭トラブルの防止
上記でも述べたように貸した相手に「借りてない」と言われてしまえば証拠がありません。借用書は確実な証拠になり、トラブルを防げます。
お金を受け取ったことが証明できる
借用書は実際にお金を借りる人がお金を受け取った時に作成するものなので、「お金を受け取った」という契約が有効に成立していることになります。
裁判になっても使える
仮に裁判を起こすことになってしまっても、借用書はお金の貸し借りの証拠となります。一般で言う契約書と同じ効力があります。
借用書の書き方にはルールがあるのか?
借用書には決まったルールはなく、用紙も指定はありません。メモ帳でもチラシの裏でも良いとされ、自由に書くことができます。
しかし、法律的に有効にするためには下記の項目は必ず書きましょう。
①借用書という文書のタイトル
②借りた日付
③借りた金額
④支払い方法・返済期日
⑤借りる人の住所・氏名・押印
⑥貸した人の住所・氏名・押印
また、「上記金額を確かに借用しました」なども書いておくと、領収書と間違われることがありません。
実は、借用書には決まった書式がありません。メモ帳の切れ端に借金の額と日付とサインだけでも、ある程度は借用書として効力を持ちます。ただし、金銭トラブルを回避するにはもっと相応しい借用書の書き方があります。
利息について
お金の貸し借りでは、基本的に「利息」が発生することは皆さんご存知だと思います。
個人間だからと言って無制限に利息を決めていいわけではありません
契約金額(借りたお金)に対する利息の割合(金利)を定めているのが「利息制限法」です
借入額 | 利息の上限額 |
10万円未満 | 借入額の20% |
10万円以上100万円未満 | 借入額の18% |
100万円以上 | 借入額の15% |
返済方法について
返済方法をあやふやにするのもトラブルのもとになりますので、具体的に書きましょう
返済方法の具体的内容 | 注意点 |
一括返済なのか分割返済なのか | 分割の場合は毎月の返済日 毎月の返済額も記載 |
銀行振り込みなのか 貸主の家に持参するのか | 銀行振り込みの場合 手数料はどちらが負担するのか ※記載がない場合は基本的に借主が 貸主の家に持参します |
借用書には印紙が必要
借用書には収入印紙をはる必要があります。
契約書の作成者が収入印紙を貼って、印紙税を納税します。
印紙が貼られていない借用書でも効力はある?
では仮に契約書に収入印紙が貼られていない場合には、借用書としての効力がなくなるのかと言えばそうではありません。収入印紙を契約書に貼ることは、あくまでも税法上の義務に過ぎないからです
ただし過怠税が発生する可能性はある
ただし、本当であれば貼っておかなくてはならない収入印紙を貼っていない場合や、印紙の金額が不足している場合など、本来貼るべきだった印紙税額の2倍の金額が過怠税として課せられます。
そうなると本当なら貼るはずだった金額の3倍の印紙税を納付することになるので注意しましょう。もし印紙税の貼り忘れや不足に気が付いた場合には自己申告すると、本来の印紙税額の10%分を加えた過怠税で良いことになっています。
契約金額 | 収入印紙の金額 |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円超え50万円以下 | 400円 |
50万円超え100万円以下 | 1千円 |
100万円超え500万円以下 | 2千円 |
500万円超え1千万以下 | 1万円 |
1千万円超え5千万円以下 | 2万円 |
借用書の作成で注意したいこと

〇 必ず直筆で書く
直筆で書くことで、トラブルになった場合筆跡鑑定ができます。またボールペンやサインペンで書くようにしましょう。鉛筆は消える可能性や改ざんも出来てしまいます。
〇 署名・捺印を忘れないようにする
お金の貸し借りが誰なのかということをしっかり示すためには、署名と捺印を必ず行いましょう。
1枚の紙とはいえ、大切な借用書です。印鑑を忘れたなどと言われ、お金だけを先に貸さないようにすることも大切です。
〇 金額の数字は大字を使用する
1、2という数字や一、二という漢数字を用いても無効にはなりませんが、改ざんを防止するためには、壱、弐、参などの「大字」を用いるようにすることが大切です。
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